TransAcoustic

先日、Enya Nova U EQについて触れました。今回はウクレレとはほとんど関係ない、TransAcousticのしくみに関する記事です。・・・
TransAcousticは、ヤマハ株式会社の登録商標です。TransAcoustic技術を搭載した楽器に使われますね。では、TransAcousticとはどのような技術なのでしょうか。基本的なアイディアは1992年のヤマハの特許出願にありました。一言でいうと、楽器として鳴っている振動を検出して、加工したのちにボディに振動として戻す、というものです。当時はピアノを想定していて、グランドピアノのトップ板に加振装置を取り付けていたようです。
このことを知るまで、ピックアップの音を分離してエフェクターを通してギターの中にあるスピーカーで鳴らす、と思ってました。現物を見てもギターのボディの中にスピーカーはありませんでした(笑)。
この技術は主にピアノに用いられてきたようですが、2011年のヤマハの特許出願ではギターについて書かれていて、その構成について簡単な図面が載っていました。

(公開特許2012-150235より)

具体的には、ギターの弦の振動をブリッジ下のピエゾで受けるとともに、トップ板の振動を加速度として検出して、それらの振動に対してDSPでエフェクトをかけた信号を生成して、その信号でアクチュエーターにてトップ板を振動させる構成になってます。実物では、さらにアクチュエーターに入る信号をフォンジャック経由でアンプに出すことができます。つまり、スピーカーがあるのではなく、信号処理された(=リバーブがかかった)音信号でギターのボディを強制的に振動させることで、原音とリバーブ音をミックスさせた状態の音がギターのボディから聞こえてくることになります。まさにギター1本でライブのステージにいるみたいに酔ってしまいます。

このように、強制的にボディを振動させる場合、取り付け方や取付強度によって音がビビったり、場合によってはボディが壊れたりすると思いますが、さすがはヤマハで、実物では音のビビりは全くありませんでした。

 

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